気付いたらゴーストでした。
 彼女も僕と同様に、そろそろ触れ合いたいと思っているんじゃないのか?

 僕は彼女の様子をチラチラと観察しながら、彼女の小さな手を握る。

 ベンチに座り、揃いでブレスレットを着けると花純さんは幸せそうにニヘラッと眉を垂れて笑った。

 この笑顔……、なんかクセになるな。

 もっと見たい。

 僕が知らない彼女の仕草や表情が、まだまだ沢山あるはずだ。

 僕は彼女に見惚れながら、思い付いた言葉を口にする。

「やっぱり明日……。花純さんの部屋で課題やろっかな?」

「えっ??」

 花純さんは目を瞬き、「いいの?」と尋ねた。

 いいの、が何を指して言っているのか考え、すぐさま二択が浮上する。

 一つ、自分の部屋でやらないと集中できないんじゃないのか。

 二つ、部屋に来てくれるのか。

 多分、後者だ。

 そうに違いない。

「うん。花純さんの原稿も見たいし」

 勿論口実だ。

 見たいのは原稿じゃなくて、彼女の裸だ。

 奥に秘めた下心を隠して、僕は白々しく笑う。

 そして唇を寄せる彼女に、そっとキスをした。


   ***END***



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