かまってちょうだい!
「う〜る〜さ〜い〜!」

ドラマにはもう集中できそうにない。陵はあたしの頬をツンツン突いてくるし……。

「……やっぱり、僕と一緒にいる時は僕を見て?」

陵にそう言われ、あたしはため息をつく。まるで小さな子が駄々をこねてるみたい。まあ、そんなところも陵の可愛いところなんだと思うけど。なんて、本人には言えないけどね。

「しょうがないなぁ」

あたしはテレビを消す。ちょうどドラマはキスシーンを映していた。

「やった!かまってくれるんだ」

陵はブンブンと尻尾を振ってあたしの肩にグリグリと頭を押し付ける。その頭を撫でながら、「陵の好きにしていいよ」と言った。その途端、「キスしよ!」と返事が返ってくる。

ほのぼのとした空気は、陵がいつもの無邪気な目から一気に男の目に変わったことによって甘いものに変わる。

「んっ……」

陵が、優しくあたしの唇に自分の唇を重ねる。チュッとリップ音が響いた。
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