箱の世界～愛が導いた奇跡～
「こちらこそ、よろしく。俺は、宮槻 香澄です。女っぽい名前だけど、男だからね。」
宮槻くんかぁ。なんか感じ良くて優しそう。
この子とは、仲良くしたいな。隣だし。
その時は、まだ私は知らなかったんだ。
宮槻くんとの出会いが私の人生を大きく変えることになることを。

転校して1週間、私は吹奏楽部に入った。
トランペットを担当することになったが、あと1週間もすれば今の1年生が仮入部する期間になる。
それまでにある程度のことはできたことがいいと、音の音域から楽器の手入れの仕方、吹くにあたっての必要なものまで先輩は、丁寧に教えてくれた。

部活にも慣れ、だんだん吹けるようになったある日、音楽室だけではなく普通の教室にも移動して練習することになった。
移動する教室は、その時で変わるらしいけど、だいたい3階が多いという。
すごく今更だけど、虹丘中学校は、広くて大きい。クラスが1学年に5クラスもあり、校舎は4階立て。前の学校は、ここよりも小さな学校だったから教室の場所を覚えるのが簡単だった。
< 10 / 40 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop