箱の世界~愛が導いた奇跡~
ジリリリリリリ......
耳の上で目覚まし時計が振動しながら私の部屋に鳴り響く。
もう......朝か。
私は、それをすぐに止めた。
昨日のことがあって一睡もちゃんとした睡眠が取れなかった。
私だって、あの時はあんなこと言って香澄くんの前から離れることが精一杯で、実際、私の恋愛経験は、皆無に等しい。というか皆無以下。
病気のことを知ってから学校に行けてなかったのだから、当然だけど、あの時学校に行ってて、仮にみんなに病気のこと教えてたらどうなっていたのだろう。
みんな、気を使っていたよね。
そんな関係で友達なんかしてたって何も楽しくない。
学校に行ってなくても生きていられればそれでいいと思ってた。
今日どんな顔で香澄くんに会えばいいのか私には分からない。
その時、部屋の外からお母さんの声が聞こえた。
「瑚々〜?起きてるの?起きてるなら、早く支度して朝ごはん食べちゃって〜っ!」
そうだった。いくら学校が近いからって、こんなことして時間を過ごす訳には行かない。
私のお母さんは、引っ越してきてから今までと時間帯が違う仕事になり、私たち家族はそれに合わせて早起きを心がけている。
ちなみにお母さん、さっき、朝ごはん食べなさいなんて言ってたけど、朝ごはんは絶対お父さんが作ったやつの方が美味しいと思っている。
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