箱の世界~愛が導いた奇跡~
「松森、おはよう」
安心したのもつかの間、隣からは明るくて昨日のことをなんとも思ってないような香澄くんの声がした。
「あ......みみ宮槻くん、お、おはよう。」
やばい!あからさまになにかないとこんな返事しないよ!
「ど、どしたの、瑚々。」
まだ、HRまで時間がある。昨日のこと華鈴ちゃんに話そう。
「華鈴ちゃん、ちょっとこっち来て!」
「え!?ちょっと!瑚々!!?」
少々強引に香澄くんから逃げてきちゃったけど、後でトイレに行ってたって言えば大丈夫だよね。
「ねえ、瑚々どうしたの?」
私は華鈴ちゃんの手を握ったまま、体育館へ繋がる通路へ来ていた。
「あのね、話したいことがあるの。」
「なぁに?」
それから、わたしは、ゆっくり昨日のことを華鈴ちゃんに話した。
香澄くんに呼び出されて図書室で告白されたこと。どうしようもなくなって「考える」と言って図書室から出てきちゃったこと。
華鈴ちゃんは、私の話を最後まで聞いてくれた。
時々、相槌を打ちながら。
「それで、さっき宮槻から話しかけられて戸惑ったと。」
「うん。どうしたらいいと思う?私、告白なんてされたことないのに。」
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