箱の世界~愛が導いた奇跡~
「まず、落ち着いて。瑚々。今はHRがあるから教室に戻ろう。今日の休み時間は私と過ごして、宮槻とは、普通に接して。」
「普通に?......わかった。頑張ってみる。」
今日は英語がなかったはずだから、ペアで学習する授業は、ないし、できるだけ普通にいつも香澄くんには話しかけている女の子みたいにして過ごそうと1人決心して華鈴ちゃんと教室に戻った。
教室に入ると同時にチャイムがなり、担任の先生が入ってきた。
「今日のHRは、虹中祭についてです。」
先生がそう言った途端に教室がざわめき出した。
今年は、文化祭かな。体育祭かな。と話している子がほとんどのように思える。
「さっきあった朝の会議で、今年の虹中祭は、文化祭に決まりました!」
先生のその一言でまたも教室が騒がしくなった。
体育祭がよかったぁ!と嘆いている子もいれば、今年はこんなのしたい!と盛り上がっている子もいる。
「そこで、これからクラスの出し物についてのアンケートを取ります。周りの人とは相談せずに自分の意見を書いてください。もし、騒がしくなったら、出し物は先生が決めます。」
出し物は先生が決める。そう聞いた瞬間に、今までのざわめきはなんだったんだ。というレベルで教室が静まり返りみんなが机に置かれている紙にペンをはしらせている。
逆にその光景の変化が怖い。
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