箱の世界~愛が導いた奇跡~
「だから、そーゆーところ。」
「あ、......う、ご、ごめんなさい。」
しょんぼりだ。迷惑かけちゃったかな。
「ほら、作るよ!頑張ろ!」
「うん!頑張ろ!」
「やばい。これ以上は、自分で自分の首を絞めてるみたい。」
消え入りそうな声で言った香澄くんの声が私に届くことはなく、香澄くんの心の叫びを理解できないまま、虹中祭という楽しい時間は過ぎていった。

そして放課後。
「どう話したらいいんだろう。返事は決まってるけど......。」
私は、制服に着替えて図書室にいた。
病気のこと伝えるのは、まだ少し怖い。
そう思い、断る言い方を考えていた時。
「瑚々ちゃん。」
急に、後ろから名前を呼ばれて勢いよく振り返った。
「み、みやつ......か、香澄くん。」
「ごめん。待ったよね。」
「ううん。大丈夫だよ。」
さっきの独り言とか聞かれてないよね!?!?
「それで、告白の返事、もらえるんだよね?」
静まり返っていた図書室に私たちの声だけが響く。
コクンと、私は頷いた。
「じゃあ最後にもう一度だけ言わせて。俺、瑚々ちゃんが好きです。付き合ってください。」
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