先輩、届きますか?
「で、胸をさわられたと。」

美里の言葉に鈴音はコクンとうなずく。

思い出すだけでも恥ずかしい。

思わず桜の王子様と言ってしまったことも、胸をさわられたことも。

「まぁ、良かったじゃん??」

「え?なんで?よくないよ」

「だって桜の王子が実在するってわかったんだしさ!」

「まぁ、それは…ね、」

「しかも、ちゃっかり知り合いになっちゃって」

「わ、私のことなんてすぐ忘れるよ」

「いやいや、胸までさわったんだから」

「そ、そうかなー」

覚えていて欲しい。心ではそう強く願っている。

「でも、桜の王子様なんて言っちゃった。絶対へんって思われたよ」

「え?言ったの?本人に??」

美里はおかしそうに笑う。

「わ、笑い事じゃないよ」

鈴音は唇を尖らせてみせる。

「ごめんごめん、でも、インパクトは抜群だね」

「どうせならもっと別のインパクトがいいよー」

後悔しても後の祭りだ。

次また会えたら今度はちゃんと話したい。

(落ちそうなの助けてくれたお礼も言わなきゃ)

色んなことが一気に起こって鈴音の頭はパンク寸前だった。

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