浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
どうして俺なんかを……?
そう考えるとある言葉が浮かぶ。もしかして
本当に事件の黒幕で俺を消すために?
何なんだ……これ。気持ちが悪い。
頭がズキズキと痛むし胸が苦しくなってくる。
「大丈夫?先生……顔色が真っ青だよ?
神崎先生を呼びに行こうか?」
「だ、大丈夫……ちょっと緊張し過ぎただけだから」
また会うとか冗談じゃないと思った。
気持ち悪いのは、その内に治まってきたけど
あれからずっと神崎っていう先生のことが頭から離れなかった。
学校が終わると気持ちがモヤモヤしたまま
自分のアパートに帰宅する。
そして俺は、伊波君にテレビ電話した。
今日会った神崎っていう先生のことを話した。
すると驚いた表情をしていた。
『もしかして背が高くて髪を結んでいる人だった?
えっと……待って。確か写真があったはずだ』
伊波君は、そう言うと写真を画面に載せてくれた。
高校の頃の卒業アルバムの写真だったが
間違いない……この人だ!
「間違いないよ……この人だ!」
こんなイケメンなかなか居ないし。
今のが大人っぽいがイメージは、変わってなかった。
『そうか……この写真は、兄の卒業アルバムのやつなんだけど
間違いないよ。神崎桃哉だ。
もしかしたら君の命を狙っているのかもしれない。
くれぐれも近寄らないで。もし何か遭ったら
僕に電話して。これは、僕の方からも調べるから
あ、護身用に折りたたみナイフも持っていた方がいい。
もしかしたら何か役に立つかもしれないからね。
立花君……“いい子”だから、自分の命は、自分で守るんだよ』
「わ、分かった……そうする。じゃあ……またね」
俺は、そう言うとテレビ電話を切った。
改めて確信した。あの男が……神崎桃哉。
自分の命を狙っていると思うと怖い。
身体がガタガタと震えてきた。そ、そうだ!
慌ててキッチンに行くと折りたたみナイフを取り出した。
ナイフを広げて見るとキラリと鋭く耀いて見えた。
すると何だろうか。安心してきた。
いや……安心ってより魅力されるようだった。
「もし……攻撃してきてもこれさえあれば」
そう……これさえあれば……自分の命を自分で守れる。
例え誰が犠牲になっても……。