浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~

「さて、そろそろ帰りますね。もう遅いし……」

「待て。話は終わってないぞ?立花。
お前には、まだやってもらいたいことがある」

 や、やっぱり……。
ニヤリと何かを企んだような微笑み方をする神崎さんに
 俺は、悪い予感しかしなかった。

 結局の話はこうだ。俺がより親しい関係になるように
佐々木慶一に悩みを打ち明けるふりをしろと……。
 そうすれば相手がボロを出すか、より謝礼金や
何かとお金を要求するだろうって……。
 お守りだと安全祈願のお守りまでくれた。

ちょっと待て。お守りくれても
 それって俺の方がヤバくないか?
近づくほど俺の方がピンチになるじゃないか。
 女装がバレるのもだが、いろんな意味で……。
心配そうに神崎さんを見るが神崎さんは、ニコッと
笑って圧力をかけてきた。行けと……。

 結局行くはめになる。ハァッ……と翌朝。
ため息を吐きながら大学の抗議を受けた。
 うーん。どうしたらいいんだ。
そう思いながら、もう1つのPCウォッチを見ると反応が。
 チラッと見てみると佐々木慶一だった。
早速、連絡が来たみたいだ……。

もしかして会いたいという奴か?
 俺は、画面を小さく設定して見てみる。
『今夜会いに行けませんか?』と……。

 やっぱり。会いたいという内容だった。
とりあえず会う約束をして……神崎さんにも連絡を。
 こそこそとメールをする。よし、これで良し。

するとチャイムが鳴った。俺は、慌てて
カバンを持つと帰ろうとする。

「立花~もう帰るのか?またバイト?」

「いや。今日は、用事のほう。じゃあな松本」

「あぁ……またな。なんだ~今日こそと思ったのに」

 松本が残念な表情をしているのを知らずに
俺は、神崎さんの居る喫茶店まで急いだ。
 佐々木慶一と会うのは、夜なのだが、それまでの支度がある。

女装にも時間が、かかるので間に合うように
 メイクをして服を交換して。
あぁこんな姿を友人に見られたら死ぬ……。

< 23 / 115 >

この作品をシェア

pagetop