浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
「さて、そろそろ帰りますね。もう遅いし……」
「待て。話は終わってないぞ?立花。
お前には、まだやってもらいたいことがある」
や、やっぱり……。
ニヤリと何かを企んだような微笑み方をする神崎さんに
俺は、悪い予感しかしなかった。
結局の話はこうだ。俺がより親しい関係になるように
佐々木慶一に悩みを打ち明けるふりをしろと……。
そうすれば相手がボロを出すか、より謝礼金や
何かとお金を要求するだろうって……。
お守りだと安全祈願のお守りまでくれた。
ちょっと待て。お守りくれても
それって俺の方がヤバくないか?
近づくほど俺の方がピンチになるじゃないか。
女装がバレるのもだが、いろんな意味で……。
心配そうに神崎さんを見るが神崎さんは、ニコッと
笑って圧力をかけてきた。行けと……。
結局行くはめになる。ハァッ……と翌朝。
ため息を吐きながら大学の抗議を受けた。
うーん。どうしたらいいんだ。
そう思いながら、もう1つのPCウォッチを見ると反応が。
チラッと見てみると佐々木慶一だった。
早速、連絡が来たみたいだ……。
もしかして会いたいという奴か?
俺は、画面を小さく設定して見てみる。
『今夜会いに行けませんか?』と……。
やっぱり。会いたいという内容だった。
とりあえず会う約束をして……神崎さんにも連絡を。
こそこそとメールをする。よし、これで良し。
するとチャイムが鳴った。俺は、慌てて
カバンを持つと帰ろうとする。
「立花~もう帰るのか?またバイト?」
「いや。今日は、用事のほう。じゃあな松本」
「あぁ……またな。なんだ~今日こそと思ったのに」
松本が残念な表情をしているのを知らずに
俺は、神崎さんの居る喫茶店まで急いだ。
佐々木慶一と会うのは、夜なのだが、それまでの支度がある。
女装にも時間が、かかるので間に合うように
メイクをして服を交換して。
あぁこんな姿を友人に見られたら死ぬ……。