浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
「はい……そうです。後ろを向かないで
もし気づかれたら何されるか……」
俺は、あえて後ろを振り向かせないようにさせた。
下手にジロジロ見て瀬戸さんが刑事だと
知られる訳にはいかない。すると何を考えたのか
佐々木慶一は、俺の手を握ってきた。はぁっ?
「走ろう!!」
佐々木慶一は、そう言うと俺の手を握ったまま
急に走り出した。えっ……ちょっと待て!!
止める間もなく走るはめになってしまった。
瀬戸さんも慌てて追いかけるが人が多いせいか
姿が見えなくなってしまった。
「これだけ走れば大丈夫かな?加奈子さん。
大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です……」
大丈夫じゃない。何で走るはめに?
瀬戸さんは、見失うし……ピンチなのは、むしろ
今の状況なのだが。
「あ、でも……終電逃してしまいましたね」
はぁっ?慌ててPCウォッチを見ると逃げる間に
終電時間を過ぎてしまっていた。マ……マジかよ!?
どうするんだよ……今からタクシーに乗るにも
タクシー代がキツいし。
うーんと唸っていると佐々木さんは、
思い付いたように俺の手をまた握ってきた。
「ここなら俺の家近いんです。
良かったら今日泊まって行きませんか?」
はぁっ?何を言っているんだ……コイツ。
俺は、その言葉にドン引きした。
「えっ……でも悪いですし。それに
友達も家に……」
「あんな危ない奴が居る状態で帰せません。
女友達にも危害があるかもしれない。
それに終電だし……あ、心配はいりませんよ。
俺は、何もしませんから」
そう言ってくるが、そういう時の男が
1番信用ならないんだよな。俺男だからよく分かる。
どうしようと思っているとPCウォッチに反応が。
あ、メールの方だ!
俺は、慌てて中身を確認する。すると……。