浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
目をうっすらと開けると佐々木慶一は、
テレビ電話で誰かと話していた。
顔では分からないが……声は、聞こえてきた。
『上手くやったようだね?』
「はい。それで……どうしますか?赤羽さん。
殺すのは、さすがに俺の美学に反しますが」
『始末はこちらでやろう。君は、あくまでも
今まで通りに僕の言う通りにやればいい。
そうすれば君の望みのモノを約束しよう』
君の望むもの……?
それよりも赤羽って誰だ?
どうやらこの犯行の首謀者は、別に居るらしい。
この人達の本当の目的は……何だ?
すると俺に気づいたのか電話を切る佐々木慶一。
そして俺に近づいてきた。や、ヤバい……。
何とか逃げようとするが腕を後ろに縛られて身動きが取れない。
足も縛られていた。
すると佐々木慶一は、俺の髪を掴みウィッグを取った。
あ、変装が……!!
「もしかしてバレてないと思った?
君が藍沢加奈子として入り込んでいるなんて
最初から分かっていたんだよ。立花駆君」
ニヤリと笑う彼に俺は、ゾッと寒気が走った。
やっぱり正体に気づいていた!!
しかも最初からって……どうやって?
ちゃんと神崎さんが気づかれないように
色々とやってくれたのに……。
「な、何で分かったんだ?俺のこと……。
それに……いつの間にか眠り薬なんて入れたんだ?」
「そんなのどうでもいいだろう。これから死ぬ奴に。
最初から分かっていたんだ。薬なんて
最初のインスタントコーヒーの時点で入れておける。
気づかなかっただろう?全て芝居さ」
最初のインスタントコーヒーの中に!?
じゃあ俺がコーヒーを淹れることも想定内で?
……油断した。まさか頭のキレる奴だったとは……。
「だから言ってそんなことをしてみろ!?
お前は、すぐに捕まるぞ。それに
何で結婚詐欺なんて……騙された女性に
悪いとは思わないのか?」
「はぁっ?赤羽さんにかかれば、そんなの
どうにでもなる。それに騙された女に罪悪感なんて
思う訳がないだろう。
むしろ感謝してもらいたいぐらいだ。
俺のお陰でいい夢を見させてもらえたんだから」