浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~

「あ、すみません。いや、それよりも大変なんです!
 ぜひ先輩のお力添えを……」

 神崎さんに泣きつきながら言ってくる人物は、
捜査一課の刑事で瀬戸嵐(せとあらし)さんだ。
 短髪で背が高く大柄の体育系。
何故、神崎さんを先輩と呼び助けを求めるかは、理由がある。

「問題に答えない奴は、入れる気はないぞ。
それに愚痴やタダ働きならしないぞ?」

「そんなこと言わないで下さいよ……。
先輩と後輩の仲じゃないッスか!!」

「昔の話だろうが……まったく」

呆れたようにため息を吐く神崎さんを見て苦笑いする。
 俺も最初聞いて驚いたが実は、神埼さんは……元刑事だった。
 どうして辞めたかは知らないが瀬戸さんとは、
その時の後輩だったらしい。そして辞めた後は、
喫茶店を始めながら、もう1つの副業として
 探偵事務所を経営していた。

事務所は、この喫茶店。依頼があれば
お店を休んでその依頼を引き受けて調査する。
 だから気まぐれに休業とか、開店の時間帯が短く
微妙なのは、この依頼を優先するためらしい。
 しかし問題なのは、それだけじゃない。何故なら……。

「で、でも先輩も興味を持つはずです。
何故ならそこに赤薔薇会が潜んでいる可能性があるからです!」

「赤薔薇……だと?」

その言葉にピクッと反応する神崎さんだった。
 赤薔薇会……今、刑事が追っている犯罪組織の名だ。
 一般には広まっていないものの警察の間では、
犯罪トップクラスに君臨している闇組織。

 “どの犯罪にも赤薔薇の影あり”なんて
言われているほど、その組織の存在は大きく
いろんな犯罪を犯していた。
 そして……その組織に神崎さんには、深く関わろうとしていた。

「いいだろう……話してみろ」

「は、はい。実は……赤薔薇会は、海外から
大量の薬を手に入れているみたいなんです!
 しかも、それに入手した薬は、一般客などに
高く売り付け赤薔薇会に渡っているみたいなんです」

薬……!?
 薬とは、麻薬のことだ。そんな物騒な話を
こんなところでしてもいいのだろうか?
 俺は、オロオロしていると神崎さんは、黙って
コーヒーを前のカウンター席のテーブルに置いた。

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