浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
「神崎さん。逆……逆です!
バイクは、あっちに行きましたよ!?」
「違う。アレは、警察を撒くための囮だ!
本物の金が入ったカバンは、ぶつかった男が持って行った」
えぇ……っ!?
神崎さんの言葉に驚いてしまった。
しかし、すぐにハッとする。 確かにあの時
二階堂ユミカの母親は、公園で男性にぶつかっていた。
同じ柄のカバン。あ、じゃあ……あの隙に
カバンを入れ違えていたのか……。
「どうして分かったんですか?」
「もしものためにあのカバンにGPSをつけておいた。
しかも赤薔薇会が絡んでいるなら、すぐに
捕まるヘマはしない。しっかり掴まっていろ!
スピードを上げるぞ」
そう言いながらバイクのスピードを上げていく。
俺は、振り下ろされないように必死に神崎さんの
腰に掴まった。バイクを走りながらイヤホンで誰かと
連絡を取り合う神崎さん。
話の内容からしてリカコさんだろう。
「あの黒い車だ!あの中にカバンがある」
確かに1台の黒い車が見えた。神崎さんは、少しずつ
距離を近付けながら後ろを走る。
だが途中で気づいたのか車は、暴走をし出した。
乱暴に他の車を避けながらスピードを上げて
引き剥がそうとしてきた。
「あ、離されちゃう!?」
しかし神崎さんは、ニヤリと笑うと同じように
スピードを上げて車をスイスイ抜くと追いかける。
かなり危ない運転だった。
あっという間に追いついてしまった。
だが犯人の車は、また強引に煽るように邪魔をして
さらにスピードを上げて行った。
普通ならスピード違反になるところだ。
だが今は、そんな事を気にしてる暇はない。
すると車が右折すると車の窓から手を出して
こちらに向かって拳銃を撃ってきた。
ひぃぃっ……!!
マジかよ……アイツら拳銃まで持っているのかよ!?
俺は、恐怖で神崎さんにしがみついていると
神崎さんは、ハンドルを回しながら避ける。
しかしそのせいで余計に離されて結局
見失ってしまった。くっ……もう少しだったのに。
しかし神崎さんは、諦めていなかった。
バイクを端っこに寄せると止める。そして
「リカコさん。すまない……引き離された。
だけどナンバーは、覚えた。
あと方向から検索して隠れやすそうな場所を
割り出してくれ」
イヤホンで、すぐにリカコさんと連絡を取り
居場所を突き止めようとしていた。
その行動力に俺は、唖然としていた。