浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
その画面がつくと目と鼻のところまで隠れた
キツネのお面を付けた人物が映った。
誰だ……見た感じだと男性っぽいが?
するとそのお面の人物は、喋りだした。
『やぁ神崎君。そこに隠れているんだろう?
出ておいでよ。久しぶりに君と話がしたい』
声は、機械音になっていた。それよりも
このお面の人物は、神崎さんのことを知っているのか?
しかもここに居ることさえも……。
神崎さんは、拳銃を構えたままに出てきた。
神崎さん!?大丈夫なんですか……。
俺は、心配になりながらその現場を見ていた。
「久しぶりだな。赤羽。やはりこれも仕掛けだったか
俺を誘き寄せるための罠だったんだな」
赤薔薇会!?じゃあ……このお面の男は、
赤薔薇会のボスなんだ?
思わない再会に俺は、緊張で唾を呑み込んでしまった。
お互いに緊迫した空気が流れていた。
『誘き寄せる?ただの偶然さ。
僕は、ボスとして彼女の失態を償わせようとした。
そうしたら、たまたま君らが来ただけだろ?』
「嘘つけ。なら何で誘拐までして金を請求した!?
そうすれば俺のところに依頼が来ると思ったからだろ。
全てお前が陰で企んでいたこと!!」
冷静沈着な神崎さんだと思えないぐらいに
感情を剥き出しにしていた。
しかしお面の男……赤羽は、クスッと笑った。
『いや……間違えてはいない。二階堂ユミカの
後始末をしないといけないと思った時に思い付いたんだ。
楽しいパフォーマンスとしてね。ユミカ。“アロマだ!”
目の前に居る神崎桃哉を殺せ!』
えっ……?
すると二階堂ユミカは、徐に下に置いてある
金属パイプを握りこちらを見てきた。
あれは、トランス状態!?
目線が明らかに虚ろで田辺さんの時と同じだ。
まさか彼女まで華の雫を摂取していたと言うのか?
「死ね。神崎桃哉」
麻薬で操られた二階堂ユミカは、神崎さんに向かって
金属パイプで殴ろうとしてきた。
「神崎さん。危ない!!」
俺は、思わず叫んでしまった。
だが神崎さんは、上手く避けてくれたが
俺の声に驚いて振り返った。