浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~

神崎さんは、急いで二階堂ユミカをおんぶする。
 俺は、カバンを持って逃げようとした。
 しかしその時だった。扉がガッシャンと音を立てて
閉め出されてしまった。

はぁっ!?閉め出された……!!
 俺は、慌ててカバンを置くと扉を開けようとした。
だが頑丈な扉は、びくともしない。
 何処かで犯人が潜んでいたのだろう。俺達は、
まんまと罠に嵌められてしまったようだ。

「くそっ……開かない!!」

「立花やめろ。しっかり固定されて開けられないだろう。
 それよりもこの現状をどうにかしないとヤバイぞ!
ここに時限爆弾があるのだからな」

あ、そうだった!!
 早く時限爆弾を見つけて何とかしないと
この倉庫ごと爆発してしまう。えっ……でも何処に?
 俺は、必死に辺りを見渡した。

 それなりの広さと機材や木材が置いてある。
一つ一つ調べていたら間に合わないのに……。
 焦る一方で冷静な判断が出来なくなっていた。
だが神崎さんは、何やら考え込んでいた。

「赤羽の性格からして見つけにくい場所に隠さないはずだ。
 それを見て恐怖する姿を見たいだろうからな。
だとしたらもっと近くで……見つけやすい場所に」

そう言った神崎さんは、ハッとカバンの方を見た。
 そのカバンは、大金が入っているカバンだ。
ま、まさか……!?

神崎さんは、二階堂ユミカを静かに下ろすと
 慌ててカバンに近づき耳を当てる。そして
チャックを開けてみた。予想的中だった……。
 大金と一緒に時限爆弾が入れてあった。

何でこんなところに!?
 もし出られて逃げれたとしてもカバンを持っていたら
同じことだ。爆発していただろう。
 想像するだけでもゾッと背筋が凍ってしまう。
赤羽って奴は、どれほど冷酷で鬼畜な性格をしているんだ?
 人を殺すってことに抵抗がないなんて……。

「とにかく、これを解体しないと爆発する」

神崎さんは、そう言うと時限爆弾の蓋を開ける。
 すでに残り時間が5分を切っていた。
 いくつかあるコードを神崎さんは、丁重にほどき
折りたたみナイフをポケットから出すと切っていく。

「ちょっ……神崎さん!?危ないですってば」

「心配するな。時限爆弾の解除方法なら
 刑事の頃に専門の奴に教えてもらった」

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