浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
そ、そうなんだ……。さすが神崎さんだ。
何でも出来るから凄い。
俺は、少し安心した表情をすると神崎さんは、
何だか暗い表情になっていく。
「立花。すまなかった……お前まで
危険な事に巻き込んでしまって」
「えっ?そんなの仕方がないですよ。
それに今回も赤薔薇会の仕業でこうなったんだし」
確かに、このバイトをしてから危ない目には遭っている。
しかし自分も辞めずにやり続けているし
自己責任といえば自己責任なのだ。
誰かのせいとかは思わない。しかし
神崎さんは、深刻そうな表情になっていた。
「……違う。俺のせいでもあるんだ。
俺がもっとしっかりしていたら……伊波のようにはならなかった」
伊波さん……。
神崎さんの心には、伊波さんに対しての罪悪感で
いっぱいになっている。
大切な親友で幼なじみでもあり、そして
バディだったのだろうと思うと心が締め付けられそうに痛い。
「違いますよ……だって彼は自殺なんだし
それは、自分自身の問題で……」
「立花。何故そいつが自殺だと知っている?
俺は、お前に伊波の話をしたことはないぞ」
鋭いツッコミにドキッとした。や、ヤバい。
伊波さんの弟さんに会っていることに気づかれてしまう。
秘密にしてくれと言われているし、もし弟さんのことを
知ればきっと今以上に辛い気持ちになるはずだ。
「あの……警視総監……神崎さんのお父さんから聞きました。
この前会った時に……」
俺は、咄嗟に嘘をついてしまった。
何だか余計に胸がチクチクと痛くなってきた。
「そうか……あ、それよりも大変なことになったぞ!」
「えっ……?」
俺は、神崎さんがやっている時限爆弾のコードを
見てみると他は、いくつか切っていたが
残りの赤と白のコードが残されていた。
ま、まさか……どちらかを間違えて切ると爆発するのか?