浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~

「赤を残すんですか……?」

「あぁ切るのは、白だ。だが絶対ではない。
 もし間違えた時は、すまない……」

 神崎さんがそう言って謝ってきた。
俺は、黙ったまま白のコードに折りたたみナイフを向ける。

「謝らないで下さい。俺は……神崎さんを信じます」

 そう言うと白のコードを切った。
怖いはずなのに切るのに迷いはなかった。
 それは、俺が神崎さんを信じているからだ!
もしそれが間違えたとしても……信じたことに悔いはない。

 静まり返る倉庫の中。変化はない……?
恐る恐る時限爆弾を見てみるとタイマーが止まっていた。
 ギリギリ……05秒を残して。

た、助かった……!!
 全身の力が抜けて尻餅をついてしまった。
変な脂汗まで出てしまった。
 アハハッ……と変な笑い出すと神崎さんを見た。
 ホッとした表情をしていた。しかし
すぐに暗い表情に戻ってしまっていた。

「あの……どうして白だと思ったんですか?」

 俺は、その場の雰囲気を壊すためにあえてそう質問した。

「赤羽が最後に“赤薔薇会に栄光あれ”と強調した。
赤は、赤薔薇会の象徴の色だ。
 それをわざわざ切らさずに残させることは、俺らより
格上だと印象を与えることにもなる……。
 アイツならそれぐらいのことをやると思ったからだ!」

神崎さんの言葉に俺は、納得した。
 確かに赤羽ならやりそうな考えだ。
 チラッと時限爆弾のコードを見る。残された赤いコードは、
まるで俺らを嘲笑っているかのように確かに存在していた。

 それを見て俺は、どうしようもない恐怖と
不安が込み上げてきた。今になって震え始めた。

 その後。もう一度瀬戸さんにテレビ電話をすると
今度は、出てくれた。
 やっぱりバイクを追いかけて奮闘していたらしい。
事情を話すとパトカーを何台か連れて来てくれた。

「すみません……気づくのが遅れて。
大丈夫でしたか?怪我はないですか!?」

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