浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~

どうしたらいいんだ……。
 すると伊波君がこんなことを口に出してきた。

『今日電話して良かった。あのさ、僕達だけで
犯人を見つけることって出来ないかな?』

「えっ?どういうこと?」

『僕達だけで犯人を見つけて警察に通報したらいいんだよ!
 僕も兄のことで傷つく神崎さんを見たくないし
このままだと兄も浮かばれないと思う。
 2人で犯人を見つけるきっかけを作ったら神崎さんも
立花君を見直すと思うし犯人が何か自供すれば、
赤薔薇会を捕まえることも出来ると思うんだ。
 何より前を向いてもらうきっかけになるはずだよ!』

 精一杯力説する伊波君を見て俺は、驚きつつも
納得させられた。確かにそうだ。
 俺達が先に見つけられたらきっと神崎さんは、
俺のことを見直してくれるかも。
 それに前を向くきっかけになってくれたら嬉しい。

「うん、そうだね。俺達で見つけよう!」

 俺は、伊波君の言葉に同意した。
そうだ。俺達が先に見つけてやればいい……。
 お陰でやる気が出てきた。

 そして伊波君の提案に乗りテレビ電話を切ると
急いで荷物をカバンに詰め込んだ。
 俺と伊波君は、ある場所に向かうことにした。
向かう先は、大阪だった。
 何故大阪かは、事件が遭った白虎組を訪れて
調査をすることにしたからだ。

まずどのように射殺されたのか調べないといけない。
 俺達だけだと警察の情報を貰えないから
独自で調べるしかない。それに神崎さんと一緒でも
俺を連れて大阪に来ていただろう……。

 そして東京駅に向かい新幹線に乗り込んだ。
何時間もかけて大阪に向かった。
 しばらくして着くとその近くのホテルで一泊をして
次の日に百城組の自宅周辺に向かった。
 広い屋敷の出入り口で周辺には、多くの取材陣が居た。

 俺は、辺りを見渡した。
離れた所にマンションやビルが建っていた。
 そして近くには、住宅が何軒か。

「住宅もあるし、警備も厳重にしていたら
近くでは狙えないだろうね」

 伊波君の言葉に納得する。確かに
この厳重なところでは、狙いにくいか。
 それにライフル銃だと言われてたし、そういうのは
本来遠くから獲物を狙うものだ。うん?
 だとしたらビルやマンションの屋上だ!!

 俺は、慌ててビルやマンションを見渡した。
こちらから見える建物でもいくつもある。
 大阪は、都会だしそれを探すのは骨が折れそうだ。

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