浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~

「犯人は、ビルかマンションの屋上から
組長を狙ったんじゃないかな?」

「屋上?あっ……確かにそうかも知れないね。
 それなら遠くから狙えるし。
でも高いマンションやビルも多いね」

「仕方がない。一つ一つ見て行こう。
 それに聞き込み。もしかしたら近くで怪しい人を
見た人も居るかもしれないし」

あーだこーだ言っていても仕方がない。
 結局聞き込みをしないといけないのだし、それに
俺の出来ることを頑張ろう。

 取り合えず狙えそうな高さのビルやマンションを
一つ一つ見て行くことにした。
 周りにも聞き込みをするのだがすでにその辺は、
警察の人も聞き込みをしていたらしく答えは同じだった。
 怪しい人は、見ていないと……。

 ビルやマンションも立ち入り禁止が多く
こじ開けて入ったとしても何処も狙えそうで特定しにくい。
 うーん。何かがおかしい。
俺は、何か大事なことを見落としているような気がした。

 大阪は、人口も多いし観光客も多い。
その中に知らない人が紛れ込んでも分かりにくい。
 すると2人のおばさんが声をかけてきた。

「ちょっとちょっとあんた。
さっきから聞き込みをしてんやろ?
あそこの白虎組のことで」

「は、はい。もしかして何か知っているんですか?」

「いや。知らへんのやけどな。ちょっと気になったんや」

なんだ……ただの興味本位か。
 俺は、ため息を吐いた。すると伊波君は、そんな俺に
気になることを口に出してきた。

「ねぇ前から気になっていんだけどさ。
 赤薔薇会って殺人組織なんだろ?兄も言っていたけど
そういう奴らってやっぱりプロの殺し屋なのかな?」

「うーん違うよ。確かに殺人組織だけど
犯人は、プロってより犯罪経験があった奴や
願望がある奴らに手を貸しているというか……うん?」

伊波君の言葉にハッとさせられる。
 そういえば今までの犯罪でも赤薔薇会は、
プロの殺し屋を使い犯罪を犯さなかった。
 どちらかといえば、人の闇や悪意を利用して操っていた。

 もし俺の考えが正しいのなら怪しい奴という先入観が
そもそも間違いじゃなかったのか?

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