浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
「すみません。もう一度伺ってもいいですか?
あの事件の時刻か最近になって見るようになった人とか
マンションやビル辺りで見ませんでしたか?
誰でもいいんですが」
聞き方を変えておばさん達に尋ねてみる。
すると近くで見ていた別のおばさんが何か思い出したのか
こちらに来て話しかけてきた。
「それなら、その時刻少し前に1人の高校の男子生徒が
マンションに入って行くのを見たで」
「本当ですか!?」
「ホンマや。えっとなぁ~身長が170ちょいぐらいで
顔が芸人のマイケル光浦に似た感じやったわ」
マイケル光浦?
知らない名前が出てきて困惑する。えっ?
芸能人か何かだろうか?
すると1人のおばさんがツッコんできた。
「マイケル光浦?誰やねん。それ?」
「知らんの?最近売り出し中の芸人やで
ウチ最近応援してんねん。顔は、イケメンなんやけど
個性的でなかなか面白いねんで。ほら見せたるわ」
そう言いながらPCウォッチを使い画像を出してくれた。
芸人のことは、詳しくないが有力な証言だ。
俺は、すぐにその写真を送ってもらう。
「えっ?どういうこと?立花君。
犯人の情報を何か分かったのかい?」
「うん。犯人は、見た目だと怪しくもない
普通の人なのだろう。でもそれが落とし穴なんだ。
そういう人物でも赤薔薇会なら犯人にしてしまう」
俺達は、怪しい犯人ばかりに気を取られていた。
まず『怪しい人を見ませんでしたか?』と聞かれたら
普通は、怪しい人だけ思い浮かべるだろう。
よく周りに居る知っている人は除いて……。
先入観だけで選んでも裏の性格を知る訳ではない。
他にもその男子高校生のことで聞き込みをする。
すると同じ少年を見たことがあるって人が居たり
その中に彼のことをよく知る人物が現れた。
しかし彼は、高校生ではないと言われた。
その人物は、平山巧。まさかの
大学生4年生だった。
大阪の大学に通うために、こちらに上京したらしい。
なるほど……その時点で、すでに調査を混乱させてる。
しかしあの赤薔薇会なら、それも楽しんでそうだ。
彼が、どうやって赤薔薇会と接触したか分からない。
しかし少しでもそういう願望がある人なら
それを勧誘して犯行にさせることは出来たはずだ。
いざとなったら“華の雫”も使えるのだし……。