浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~
その後。どうなったのか俺には、記憶がない。
俺は、キツネのお面を付けて赤羽と一緒に
海沿いにある高い崖のところに連れて行かれた。
こんな所で突き落とされたら間違いなく死ぬだろう。
しばらくすると車の音が聞こえてきた。
車を停めると神崎さんが降りてきた。
怒っているのがよく分かるぐらいに険しい表情をしていたが……。
「赤羽。お前……あの電話は何だ!?
立花を誘拐したって……一体何を企んでいる?
その子を今すぐ返せ!!」
「落ち着きなよ?神崎君。それに企んでいる?
嫌だなぁ~せっかく可愛い弟が見つかったから
君にも紹介してあげようと思ったんじゃないか」
赤羽は、お面を付けているが、楽しそうに
口元がクスクスと笑みを溢していた。
それを聞いた神崎さんは、歯を食いしばる。
「お前……まさか!?」
「フフッ……紹介しよう。彼は、僕の弟の駆だ。
異母兄弟になるけどよろしく頼むよ。
さぁ駆。”いい子”だ。彼に挨拶をしてやりなさい」
そう赤羽が言うと俺は、神崎さんに向かって
拳銃を突きつけた。
俺は……一体何をやっているんだっけ?
神崎さんは、その姿を見て愕然としていた。
まさか俺に拳銃を向けてくるなんて思わなかったのだろう。
「やめろ。立花目を覚ませ!!
赤羽。お前……立花に”華の雫“を使ったな!?」
「フフッ…数滴だけだよ。それに彼は、
俺の弟なんだから、どのみちこうなる運命だ。
さぁ駆。あの邪魔者を消してやりなさい。
彼は、君にとって邪魔な存在だ!」
「……邪魔な……存在」
「やめろ。立花アイツの言葉に耳を傾けるな!!
赤羽は、お前の血の分けた兄じゃない。全くの嘘だ!
そんな奴の言うことなんて信じるな!!」
嘘……?だって彼は、俺の兄だって。
俺には、赤羽の血が流れているって……言っていたし
あれ?でも何で……消さないといけないんだっけ?