浅草の喫茶店と探偵ミステリー~血に染まった赤いバラ~

 何か違和感がある。だが、その事件の真相を知るのが
怖くて自分で調べることが出来なかった。
 それにお店も閉まっているから確認も出来ないし
あの辺を通るにも勇気がいた。
 取り合えず今は、教育実習を上手くやらないと……。

 頭で何度も言い聞かしながら俺は、新たな気持ちで
教育実習に望むことにした。
 俺が担当する学校は、浅草S女子高等学校だ。
そこで国語を教えることになった。クラスは、2年1組。

 月曜日になると緊張しながらクラスまで向かった。
教壇に立ち前を見ると周りは、女性生徒だらけだ。
 や、ヤバい……なおさら緊張してきた。

「は、はじめまして立花駆です。
 えっと……今日から2週間教育実習として皆さんと
一緒に学びたいと思うのでよろしくお願いします。
 えっ……と……まず出席数の確認を……」

「先生~それ逆じゃないですか?」

「えっ?あぁ、本当だ。え、えっと…うわぁっ!!」

 慌てて戻そうとしたが弾みで出席簿を落としてしまった。
 それを見た生徒達は、アハハッと笑われてしまった。
完全に生徒達に馬鹿にされてしまった。

 あぁ……真面目で生徒思いの優秀な先生になりたかったのに
これだとただの間抜けな先生だよ。
 自分でやっておいて恥ずかしくなった。

何とか出席数を終わり授業を再開させた。
 しかし完全に生徒に舐められてしまい授業を聞くより
質問ばかりされて進まない。
 結局中途半端のまま授業時間が過ぎてしまい終わった。

 しょんぼりしながら廊下を歩いていると
数人の生徒が声をかけてきた。

「立花先生~途中まで一緒に行こうよ。
 ねぇねぇ先生ってさ、先生に見えないよね?
見た目なんてまだ高校でも通るんじゃない?」

 高校生って……いくらなんでも無理がないか?
確かに童顔だとよく言われるけど。
 それに明らかに馬鹿にされているよね?これって……。
 しかもタメ口だし……。

「先生をからかうなよ?さすがに無理が……」

「いやいや。イケるでしょ?余裕で
マジさっきのウケたわ~さすが立花先生」

 キャハハッと余計に笑われる。
ダメだ……完全に馬鹿にされている。
 先生の威厳が……と思うと悲しくなってきた。
 しゅんと落ち込みそうになりながら渡り廊下を歩いていると
前に歩く人物に衝撃を受けた。

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