訳ありの檸檬【中学生日記】
「あぁ、彼女が欲しいな……」

 毎度まいど、同じセリフを吐いている。去年の夏休みもオレは、性欲を持て余す日々を過ごしていた。

 ふと部屋の窓ぎわに目をやると、母ちゃんの下着が干してあった。黒くてスベスベの、一部が透けているボディースーツだった……

 それは確か、盆の法事か何かのときに着ていたやつだ。その見慣れない下着が、オレの感覚中枢を狂わせた。

「ねぇ……ちょっと着てみない?」
 その下着は言った。確かに、オレに向かって。
 家には誰もいない。
 そう、その日は夕方まで、誰もいない日……

 オレは負けた、その誘惑に。つまり、オレの性欲の勝ちである。そいつを手に取り、顔の近くに寄せてみた。

 シルキーな光り、オシャレなサイドステッチを見ていると、頭の奥がムズムズしてくる。
 両手で、口もとにそれを押しあてた。柔軟剤の香り…… まだ出会ったこともないはずの、キレイなお姉さんがそこに居る。

「着てみたい……」
 そいつと素肌を重ね合わせ、ひとつに溶け合うエクスタシーに思いを馳せる。
 オレは本気だった……



 ……ちょっと待ってよ。
 こんなの、作文に書けるかって!
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