世界が終わるとき、そこに愛はありますか
…何言ってるんだろう。


薄暗さと不気味な月光が相まってスーッと心臓が冷えていくのを感じる。


「…あんな男やめて俺にしときなよ。あいつのことを想ってても報われないよ?」


涼の手があたしの頬に触れる。


「俺、雪花ちゃんのこと好きなんだよね。本気で。だから深景には渡さない」


…なんでなんだろう。


あたしなんかのどこがいいんだろう。


まだ、2回しか会ってないのに。


「悪いけど、涼のことをそんな風には見れない。もっとたくさん会って、お互いのことをちゃんと知ってからじゃないとダメだよ」


そっと涼の手を振り払い、玄関の方を指差す。


「今日はもう帰って」


この雰囲気じゃ、涼はあたしに手を出しかねない。


それだけは嫌だ。


「…わかった。じゃあ最後に1つだけ。今夜は深景に近づかない方がいいよ。傷つくのは雪花ちゃんだから」


涼はそういって玄関へと消えていった。
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