世界が終わるとき、そこに愛はありますか
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翌朝、リビングのソファで目を覚ますと、既に深景さんは起きていて朝食を作っているところだった。
昨夜寝たときにはかけていなかったタオルケットがあたしの身体にかっている。
…深景さんがかけてくれたのかな。
「…タオルケットありがと」
昨夜の出来事はもう忘れようと思っているのに、そう簡単に記憶も苛立ちも消せない。
意に反してトゲのある声になったのにも関わらず、深景さんは小さく頷いてくれた。
そして、調理する手を止めてこっちを真っ直ぐ見据える。
「…ごめんな。嫌がってんのに無理やりしようとして。お前の過去のトラウマの話だって知ってたのに。本当にごめん」
…違う。
あたしが嫌だったのはそういうことじゃない。