世界が終わるとき、そこに愛はありますか
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「おかえり、雪花」
家に帰ると叔母がにっこり微笑みかけてくる。
この笑みはあたしに何かをしようと企んでいる笑みだ。
逃げなきゃ。
「特上のカニが手に入ってねぇ。さっそく食べない?」
逃げなきゃいけない─。
頭では分かってるのに、体がまるで動かない。
「あ…たしは…アレルギ─」
「食べるわよね?」
逆三角形につり上げる叔母の目。
そしてその手が伸びてき、髪を掴まれてダイニングに連れ込まれる。
「い…っ」
離しざまに数本の髪の毛をかっさらわれ、ピリッとした痛みが頭に走る。
「さぁお食べ?」
悪魔そのものの表情でカニを鷲掴みし、無理やりあたしの口に突っ込んでくる。
「んんッ、やめ…っゴホッゴホッ」