世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「…送ってくれてありがと」


そんなに遠くないはずの部屋。


ここにたどり着くまでがすごく長かった。


「……1つだけ聞いていい?」


涼の表情は儚げだった。


「…いいよ」


変に心臓が波打つ。


一瞬、涼と目が合い、反射的に反らしてしまった。


「やっぱり2つ。今、なんで目反らしたの?それと、さっきの〝ごめん〟はどういう意味?」


真っ直ぐな眼差しが痛い。


キスを拒まなかった自分の汚さを浮き彫りにされた気分で、目を覆いたくなる。


「…目を反らしたのは何となく。〝ごめん〟の意味は…」


「〝好きでもないのにキスを受け入れてごめん〟って意味?」


図星だ。


だけどどう返せばいいんだろう。


「…俺の方こそごめん。急にキスして」


「違うのっ!キスが嫌だったわけじゃ─」


ダメだ。


こんなこと言ったって結局は…っ。


結局は、涼を逃げ場にしようとしているにすぎない。
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