世界が終わるとき、そこに愛はありますか
強いけど、トゲはない口調。


「ま、とにかくお前が無事でよかった」


深景さんはそう言ってふわっと笑った。


その笑顔を見たとたん、心拍数が急上昇するのが分かった。


もっとこの笑顔を見たい。


いつか、あたしにだけこの笑顔を見せてほしい。



「…風呂、入るんだろ?俺も一緒に入る」


「えっ?」


唐突な発言に頭が真っ白になってしまった。


深景さん、何言ってんだろ。


混乱するあたしの手を掴み、そのまま半ば強引に脱衣場に直行する。


脱衣場のドアを閉まり、広くはない密室空間が出来上がる。


「ほら、早く脱げよ」


耳元で低音ボイスが響いた。


深景さんの挑発的な目つきと意地悪に上がった口角が大きな鏡に映った。


「それとも、脱がせてあげよっか?」


深景さんの細い指がブラウスのボタンにかかる。


「待ってよ。今日はしないよ?お風呂も一緒には入らない」
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