世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「それでもあたしは深景さんへの想いが止められなかった。

深景さんは唯さんが好きで、あたしが入り込む余地なんてないのに。

深景さんはあたしをセフレとしてしか見てないのに。

そんなとき、カラオケで涼と会って、そのあと涼の車でデートして…。

昨日の涼ね、すごく優しかった。

紳士的で、自然なエスコートをしてくれて、さりげなく気遣ってくれて…。

半日そんな涼と過ごして、家まで送ってもらう帰りに…あたし汚い考えしちゃってさ…。

涼はあたしに好意をもってくれてる。

だったらもう涼でいいじゃん、って。

涼なら簡単に手に入って、叶わない恋をする必要もなくなるじゃん、って。

涼“で”いいや、って。

自分がラクになるために涼を利用しようとしたんだよ、あたし。

しかも、そう考えただけじゃない。

その帰り道、車が信号で止まったとき、涼がゆっくりあたしにキスしようとしてきた。

拒否することだってできたはずだった。

なのにあたし…受け入れちゃったんだ。

情けないよね、ホント。

汚い考えで、優しい涼を傷つけた自分が嫌で嫌で…っ」
< 186 / 490 >

この作品をシェア

pagetop