世界が終わるとき、そこに愛はありますか

写真

それから数時間、他愛もない話で盛り上がり、気がついたら19時を過ぎていた。


〝長く話しすぎたお詫びに〟と、唯さんが夕食を作ってくれている。


大理石のダイニングに、美味しそうなカレーの匂いが漂う。


「唯ー、誰か来てんのー?」


唯さんがカレーを煮込む火を止めたと同時に、廊下の方から声が聞こえてきた。


─ガチャ


ダイニングの扉が開き、最も会いたくない男が姿を見せる。


カッチリした高級スーツを着た長髪長身の男。


前会った時はメガネだったけど、今日はメガネじゃないみたいだ。


切れ長の目が前髪の隙間からこちらを覗いている。


「会うのは2回目だね、藤堂さん」


「会うの〝は〟?」


含みのある強調のし方に胸がザワザワする。


こうなる可能性があったから早く帰るべきだったのに、呑気に夕食をごちそうしてもらってるあたしは本当の馬鹿だ。


また浅香さんに会っただなんて知られたら、今度こそ終わりだ…。
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