世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「お願いだから消してください…」


深々と下げた頭に、冷たい手が触れた。


パッと顔を上げると、穏やかな笑みを浮かべた浅香さんと目が合う。


「俺のお願い事を聞いてくれたら、消してあげてもいいよ?どうする?」


「お願い事って─」


「ねぇ琥太郎。もういいじゃん。ねっ?私からのお願い。雪花ちゃんを困らせないで?」


この険悪な空気を壊そうとする唯さんに、浅香さんが冷たい視線を送ると、唯さんは悲しそうな顔をして黙りこんでしまった。


「唯なら分かるだろ。俺の復讐は終わってないって」


浅香さんは、したたかにそう呟いた。


「…で?どうする?」


…他に選択肢はない。


「…わかった」


ホントにバカだ。


大バカだあたし。
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