世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「だったら決まりだな。唯、悪いけどしばらく家から出てて」


「……嫌だ。絶対に出ていかない。琥太郎と雪花ちゃんを二人にきりにはさせられない」


「…あっそ。じゃあ写真はこのままだから」


撮った写真を見せながら唯さんを脅す。


彼氏の顔じゃなくてヤクザの顔だった。


「…いくら琥太郎でも、雪花ちゃんを傷つけたら許さないから」


そんな浅香さんに怯むことなく、唯さんは捨て台詞を吐き、ダイニングを出ていった。


鉛のような空気がダイニングを包む。


カーテンの隙間から覗く空は黒い。


「ついてこい」


唯さんがいたときよりも威圧的で、仕事モードの深景さんを見ているよう。


いや、それよりも残忍さを感じる。
< 215 / 490 >

この作品をシェア

pagetop