世界が終わるとき、そこに愛はありますか
あたしの中で深景さんがすべてだった。


深景さんがいるから毎日が楽しい。


深景さんの笑顔が見たいから何かを頑張る。


気がつけば深景さん中心で世界が回っていた。


だけど今日、その世界は終わった。


「もう話さなくていい。何も言わなくていいから。大丈夫だよ。雪花ちゃんが生きてるだけで俺が救われるんだから。生きてる意味、あるよ」


ぎゅ…っと抱きしめられ、頭を何度も撫でられる。


その温かさと優しさにまた視界がボヤけてくる。


「…雪花ちゃん。今回の件、悪いのは浅香だからね。間違っても自分を責めないで」


じっとあたしの目を見つめ、涼が言ってくれた。


でも、それは違う。


「…あたしがバカだったのが悪いんだよ」


だからあたしが悪い。


「違う。浅香は相手を丸め込むのが上手いんだよ。あの深景ですら何度か騙されそうになってる。だから雪花ちゃんは悪くない」
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