世界が終わるとき、そこに愛はありますか
暗闇の奥の方に、ぼんやりとした白い人影が現れる。


「深景さん…っ」


深景さんはあたしを一瞥し、去っていく。


「待って…!行かないで…。深景さん…」


あたしの声は届かなかった。


深景さんは消え、辺りは真っ暗闇に包まれる。


もうなにも聞こえない。


世界と断絶されたこの空間でひとりぼっち。


救世主だった深景さんはもういない。


「捨てられちゃった…バカだよあたし…ホントに…っ」


枯れていた涙がまた頬を伝った。


泣いても泣いても涙は枯れないんだ。


自業自得なのに泣いてばっかり。


「…深景さん…っ」


深景さんに会いたい…。


会ってちゃんと謝罪して、許してもらえるまで何度も何度も頭を下げたい。


だけどもう、それすら叶わないのかな…。


完全に見放されちゃったかな─。
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