世界が終わるとき、そこに愛はありますか
深景さんは涼の手を振り払い、キッチンに回ってお水を注ぐ。


「仕事の邪魔になるヤツは必要ない。アイツが浅香の周りをウロウロしてたら、青龍会自体に迷惑がかかる。そんな女は切り捨てるべきだ」


……っ。


やっぱり…もうあたし、ダメなんだ…。


もう、深景さんとは終わりなんだ…。


「…お前、あいつの気持ち気づいてるんだろ。なのによくそんなことが言えるな」


懸命に怒りを抑えて冷静さを装っているのがよく分かる。


あたしのためにこんなに怒ってくれてるんだ。


「ずっと寝言で〝深景さん〟〝深景さん〟ってうなされてた。寝ながら泣いてた。あいつにとっては、お前がすべてなんだよ」


「知るか。だったら、何で俺に黙って唯ん家に行ったんだよ。なんで浅香と会って写真まで撮られたことを話さなかったんだよ」
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