世界が終わるとき、そこに愛はありますか
涼の声にまたトゲが現れてきた。


あたしのためにこんなに…。


「泣き始めたタイミングで話し方を切り替えることだってできたはずだろ。どうせずっと威圧的で、ガン飛ばして、暴言吐いてたんだろ。最低な男だよお前は」


「…たしかにそうかもな」


「え?」


「そうでもないと、この世界ではやっていけない。こんな俺と関わるのが嫌だったら今すぐ足洗うんだな」


深景さんは、お水を勢いよく飲み干してから、寝室のドアに手をかける。


「……嫌だとは言ってな─」


「団員を守るためには多少の犠牲は厭わない。そのスタンスが気に入らないなら俺とは関わるな。それはお前もだ、雪花。ずっと聞いてるんだろ」


突然名指しされ、心臓がドクンッと跳ね上がる。


盗み聞きしていたのがバレてしまった…。


「起きてたのか…」


やっぱり深景さんは頭がキレる人なんだろうな…。


そんな超人の思考回路は、あたしみたいな凡人には分からない。


「それと……暴言を吐いたことは悪かったと思ってる。ごめん」


─パタン
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