世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「深景さんは、唯さんが犯人だったらあたしに教える?それとも、誤魔化す?」


「さぁな。その時になってみないとわからない」


…切り抜けるのが上手い。


やっぱりあたしじゃ歯が立たない。


「深景さん。あたし、犯人が許せないの。この手で殺さない限り、あたしの憎しみは消えない。お願いだから、この思いを分かってほしい」


この手で殺したって憎しみは消えないかもしれない。


それぐらいあたしの恨みは深い。


「俺はお前を犯罪者にしたくない」


「今さら何言ってるの?もう戻れないところまで来てるんだよ」


着実に犯人に近づいている。


このチャンスをみすみす逃すわけにはいかない。


「そ。まぁ勝手な行動だけはするなよ」


深景さんは諦めたかのようにそう言って脱衣場へ姿を消したのだった。
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