世界が終わるとき、そこに愛はありますか

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唯さんには何かある。


それは間違いないのに、その〝何か〟がわらかない。


…お姉ちゃんは唯さんと激しく揉めていた。


理由は分かっていない。


でも、唯さんとお姉ちゃんは仲が良かった。


この前だってたくさんお姉ちゃんの話をしてくれた。


…ただの喧嘩。


そう片づけてしまっていいんだろうか。


お姉ちゃんが姿を消す前日に、揉めていたということがひっかかる。


それを聞くとどうしても唯さんへの疑念が募る。


お姉ちゃんは滅多に怒る人じゃない。


穏やかな性格で、揉め事が大嫌い。


そんなお姉ちゃんが激しく揉めるなんて、やっぱり不自然だ。


計り知れない何かがあったはずなんだ。 


でも…待って……?


「たしかあの日…涼は……」


あたしと涼が初めて会った日、涼はこう言ってた。


〝新島華、唯姉妹と茉莉愛は仲が悪かった〟


間違いない。


唯さんとお姉ちゃんは不仲だった。


だったらなんで唯さんは、仲が良かっただなんて嘘を…?
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