世界が終わるとき、そこに愛はありますか
**
唯さんには何かある。
それは間違いないのに、その〝何か〟がわらかない。
…お姉ちゃんは唯さんと激しく揉めていた。
理由は分かっていない。
でも、唯さんとお姉ちゃんは仲が良かった。
この前だってたくさんお姉ちゃんの話をしてくれた。
…ただの喧嘩。
そう片づけてしまっていいんだろうか。
お姉ちゃんが姿を消す前日に、揉めていたということがひっかかる。
それを聞くとどうしても唯さんへの疑念が募る。
お姉ちゃんは滅多に怒る人じゃない。
穏やかな性格で、揉め事が大嫌い。
そんなお姉ちゃんが激しく揉めるなんて、やっぱり不自然だ。
計り知れない何かがあったはずなんだ。
でも…待って……?
「たしかあの日…涼は……」
あたしと涼が初めて会った日、涼はこう言ってた。
〝新島華、唯姉妹と茉莉愛は仲が悪かった〟
間違いない。
唯さんとお姉ちゃんは不仲だった。
だったらなんで唯さんは、仲が良かっただなんて嘘を…?