世界が終わるとき、そこに愛はありますか
ふだん命令形を使わない涼がこんな言い方をする。


その意味はよくわかっていた。


でも、このままじっとしてろっていうの?


真実がすぐそこにあるのに?


「…涼ならあたしの気持ちをわかってくれると思ってた」


『…分かるよ。

じっとしてるのはもどかしい。

自分の手で犯人を突き止めたい、復讐したい。

そう思ってるんてしょ?

許されるのであれば、そうしてもらいたいよ。

でも、そこで俺が雪花ちゃんに情報を渡して、犯人に近づいて…。

そして…雪花ちゃんは危険な目に遭う。

そんな無責任なこと、俺はできない。

きっとそれは深景もだと思う。

確実な証拠を揃えて、犯人はアイツだって名指しできるようになるまで、こっち側が動いてることを犯人に悟られちゃいけないんだ。

それ、雪花ちゃんにできる?

俺はできないと思う。

どっかでボロ出して、命狙われて、深景や俺が助けにいかなくちゃならない。

その間に雪花ちゃんはズタズタに傷つけられるかもしれない。

場合によっては、炫聖会と青龍会の衝突になるかもしれないし、人質が取られてる分、深景は弱い。

そしたら、青龍会が負けるかもしれない。

考えすぎだって思うかもしれないけど、常にいろんな可能性を視野に入れて動かないといけない。

そんなの、素人には無理だ。

ハッキリ言わせてもらうと、邪魔なんだ。

俺や深景の邪魔。

ね。だから俺は無責任に雪花ちゃんの肩を持つことはできない』
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