世界が終わるとき、そこに愛はありますか
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「ふぅ…」
重い足取りでなんとかエントランスまでたどり着いた。
手を繋いで歩くカップルや、彼らを照らすイルミネーションに紛れて1人で歩く夜道はツラかった。
「…ん?」
誰かの視線を感じ、パッと振り向くが、誰もいなかった。
代わりにマンションの外では雪が降り始めていた。
「気のせいか…」
過度の緊張のせいだろう。
早くこの緊張から解放されたい。
だけど、深景さんに会いたくない。
矛盾した心を乗せたエレベーターが勢いよく上昇する。
─チンッ
いつもは軽く聞こえる音が不吉な音のように聞こえた。
廊下の窓を見ると、外は吹雪。
まるで今のあたしだ。