世界が終わるとき、そこに愛はありますか
あたしがケーキを買うか悩んでる間、あたしが深景さんのことを考えていた時間、彼の頭の中にあたしは一瞬たりともいなかった。


ずっと他の女と一緒だった。


彼が甘党だからって、ほんの思いつきでケーキを買って、仲直りを期待して家に帰ったあの道のりも。


緊張しながらここまで来たあの時間も。


彼の心を掴んでいたのはあたしじゃない。


あたしのことなんてもう忘れてしまったんだ。


彼の中であたしは存在しない。


あたしなんてもういらない女だったんだ。


ただあたしに居場所がないから。


だから、情けで一緒に暮らしてもらってただけ。


始めからずっとそうだった。


なのに、あたし、いつから勘違いしてたのかな…っ。


彼にとってあたしはその他大勢。


たまたま一緒に住んでるだけで、今ここにいる女たちと何ら変わらない。


そんなの、わかってたつもりなのに…っ。


なんで今さら傷ついて…っ。


バカみたい…っ。


バカみたいだよ、あたし…っ。
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