世界が終わるとき、そこに愛はありますか

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どうやって外に出たのかも分からない。


気がつけば近所の公園にいた。


緑がたくさんあって広々したこの公園も、真冬の夜中は殺風景だ。


ふわふわした雪が、冷たい強風にさらされて暴れまわっている。


「寒い…」


小学生の頃、お姉ちゃんに貰ったこのマフラーはボロボロで暖かくない。


手袋は、喧嘩する前、今年の冬は寒いからって深景さんがくれたもの。


コートはお姉ちゃんのおさがり。


どれもこれも冷たくて寒い。


嗚咽と共に吐き出る息は白い。


遠くの方では街のイルミネーションが微かに見える。


女たちを玩んでた深景さんは楽しそうだった。


あたしといるときよりもずっとずっと…。
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