世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「─そんなことないよ」 

 
「ひ…っ」


突如真隣から聞こえてきた声に、心臓が凍りつく。


隣の男の顔を確認すると、叔父だった─。


「久しぶりだね、雪花」


脂まみれの太った顔に満面の笑みを張り付けてこちらを見てくる。


「やだ…っなんで…」 


深景さんとのことなんてどうでもよくなるほどの恐怖心。


全身が逃げろと叫んでいるのに、怖くて何もできない。


あたしが逃げようとすると、いつも殴ってくる。


それが嫌で逃げることすらできなかった。 


「ボクも真由(まゆ)もずっとキミを探していたんだ」


数ヶ月前のあの忌まわしい記憶が呼び起こされる。


痛い、やめて、助けて、許して。


何を叫んでも無駄だったあの日々。


叔父の部屋で犯され続ける毎日。
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