世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「誰か助けて……」


このままじゃ前の生活に逆戻りだ…っ。


「誰も助けに来ないよ。さぁ、帰ろう」


叔父の足があの忌まわしい場所に向かっている。


「いやっ!!」


「大きい声を出すな!!」


ナイフが皮膚に辺り、ピリッとした痛みが喉の辺りに走った。


「…深景さん……っ」


深景さん、助けて……。


「誰それ。男?男なら許さないよ」


「……っ」


あんたには関係ないって言ってやりたい。


けど、言えない。


怖くて何も言えない。


逆らえない。


「もう一回聞くよ。深景って誰?」


「……女友達」


お願い…助けて…っ。


こんなときだけ頼るなんて、虫がよすぎるね。


ごめんね、深景さん…っ。


でも…っ。


あたしにはあなたしかいない…っ。


あなたしかいないの…っっ。



─叔父とのキスは血と涙の味だった
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