世界が終わるとき、そこに愛はありますか
どこまでも優しい人…。


「ちなみに、深景さんは男じゃなくて女だから」


あたしだって、深景さんを守らなきゃいけない。


ここで迂闊にも深景さんの素性がバレたりしたら、後々厄介なことになるかもしれない。


もう彼に迷惑かけたくない。


これ以上嫌われたくない。


「あっそう。まぁならいいんだけど?あぁ羽毛布団ね。ちょっと待っててね」


いちいち語尾を上げる話し方が気持ち悪い。


あたしを彼女だと勘違いしてるんじゃないかって思うほどだ。


「…あーあ。これからどうしよう」


叔父が立ち去った地下室は静かだった。


何の音もない。


防音になってるのかもしれない。


どうにかして逃げ出せないかと考えても、この足枷がある限りは逃げられない。
< 289 / 490 >

この作品をシェア

pagetop