世界が終わるとき、そこに愛はありますか
優しかった口調は消え去り、冷たいオーラが放たれている。


〝社長〟と呼ばれていたあの女性に対しての態度ほど威圧感はないが、それでも少し怖い。


「…莉愛について知ってることを全部話せ。何かを隠したり嘘を吐いたりしたら無傷では帰れないと思っとけ」


タバコを咥えながら深景さんは言った。


淡々としていて、まるで冷たい機械のよう。


効きすぎた冷房も相まってか、鳥肌が消えない。


「…あたしは何も知らない」


きっぱりそう言い切ったあたしを、深景さんは冷酷な瞳で見る。


「教えろ。それとも傷だらけで帰りたい?」


怖い。


この人が怖い。


でもそれと同時に彼に対する興味や胸の高鳴りを感じ、気がつけば話し始めていた。


「…5年前のクリスマスの日、お姉ちゃんから〝助けて殺される〟って連絡がきた。

…それを最後に1度もお姉ちゃんとは連絡が取れなくなった」


思い出すだけで苦しい。


あのとき、あたしが電話を掛け続けたばかりに、お姉ちゃんは…っ。


「─で?居場所の手がかりとかねぇの?」


無慈悲にも深景さんは質問を浴びせてくる。
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