世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「…あるわけないでしょ…?殺されたんだよ、お姉ちゃんは」


あたしのせいで。


あたしのせいで殺されたんだ。


「殺された?何を根拠に」


「……話したくない」


あんな忌々しい記憶、口に出したくもない。


人の死を舐め腐っているあの男の記憶なんて抹消したい。


綺麗サッパリ忘れ去りたい。


「……そ。まぁ莉愛が死んだってことが知れただけでもマシか」


深景さんは、フーっと煙を吐き出し、あたしの頭を2度撫でてくれた。


決して温かいわけじゃないのに、なぜか安心できた。


荒波が立っていた心が穏やかになった気がした。


「…そうだ。なんであたしがお姉ちゃんの妹だって分かったの?」


さっき店の前で声をかけたとき、すぐにあたしが妹だと悟っていた。
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