世界が終わるとき、そこに愛はありますか
「泊まりだからちゃんと用意しろよ」


しかも泊まり…?


無理だよ…そんなの心臓が持たない。


「なんでそんな嫌がんの?いつも一緒に寝てんだからいいだろ」


「嫌がってるわけじゃ…」


たしかに寝室は一緒だし、やることはやってるけど…。


泊まり掛けの旅行は特別だ。


「なら、俺が仕事の調整し終わるまでに準備しとけ。できなかったら置いてくからな」


そんな無茶振りされても…。


念入りにメイクして、ヘアセットして、可愛い服を着て、バッグにもうワンセット詰めて、充電器や日用品を詰めて…。


とやってると、結局一時間半近くかかってしまった。


「ごめん、お待たせ」


置いていくとかなんとか言ってたけど、急かすこともなくずっと待っててくれた深景さん。


「行くぞ」


あたしのボストンバッグを手に取り、先を歩いてくれる。


そのさりげない行動で鼓動が速くなるんだ。
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