世界が終わるとき、そこに愛はありますか

**

深景さんが運転する車に乗るのは初めてだ。


助手席から眺める深景さんの横顔は相変わらず綺麗。


何をする動作でも絵になる。


「何?俺に見とれてた?」


「えっ?」


横目でチラッとこっちを見てくる意地悪な視線や、キュッと上がる口角。


ドクドクドクドク…


心臓が暴れる音が聞こえちゃいそうだ。


「ホント素直なヤツだなー」


からかうように笑う深景さん。


常に深景さんの方が一枚上手で優位に立ってる感じがたまらなく好きなんだ。


…唯さんはいつもこの景色を見てたのかな。


深景さんからの愛を全面に受けてたのかな。


そう思うとすごく羨ましく感じる。


あたしがどんなに好きでも、深景さんは振り向いてくれない。
< 337 / 490 >

この作品をシェア

pagetop